アパートの買取や売却の流れとは?投資物件を手放す際の注意点も解説の画像

アパートの買取や売却の流れとは?投資物件を手放す際の注意点も解説

伊東 孝之

筆者 伊東 孝之

不動産キャリア15年

サラリーマン時代は不動産会社で勤務、独立後は建物そのもののことを学ぶべく、リフォームを主軸に物件に携わって参りました。広く浅くですが、建築に関する知識も有していますので、単純に不動産を右から左に売却するのではなく、付加価値を見出すことに注力しています。

アパートを不動産投資物件としてお持ちの皆さま、「そろそろ売却を考えてみようかな」と思ったことはありませんか。売却の流れや必要な準備、不安に感じる費用や税金のことなど、知っておきたいポイントは多いものです。この記事では、アパートの買取や売却における一連の流れを分かりやすく解説します。スムーズに取引を進めるための基本知識を身につけて、安心して最初の一歩を踏み出してみませんか。

不動産投資物件としてのアパート売却をスタートするための第一歩

アパート(収益物件)を売却する際の第一歩は、全体の流れをしっかり把握することです。売却方法には「買い取り(買取)」と「仲介」の二つがあります。買取は、不動産会社が直接オーナー様から物件を購入するため売却期間が短く、訳ありや築年数の古い物件にも対応しやすい特徴があります。一方、仲介は市場価格に近い高額売却が期待できますが、売れるまでに時間を要することがあります。これらの違いを踏まえて、どちらの方法がご自身の状況に合うか判断することが大切です。

信頼できる不動産会社を選ぶ際には、まず投資用物件の取り扱い経験や売却実績が豊富かどうかを確認しましょう。例えば専門性が高い会社では、広告展開から買主のネットワーク構築、瑕疵保険の取り扱いなど、多面的なサポートを提供してくれる場合があります。また、買取対応の可否や迅速な査定スピードがあるかどうかも、安心して進めるための重要なポイントです。

アパートを売却するにあたって、まず検討しておくべき初期のポイントを整理します。以下の表にまとめました。

検討事項ポイントの内容目的
物件の状態確認築年数・修繕履歴・入居状況など適正な価格の見極め
ローンや抵当権の有無残債の有無・抵当権抹消の要否引き渡し後の手続き計画
売却の目的や期限早く資金化したいか・高値を目指すか買取と仲介の選択に結びつく

これらの初期検討事項を整理したうえで、信頼できる不動産会社へ相談することが、スムーズな売却スタートにつながります。

査定・媒介契約・売却活動のプロセスを理解する

アパートの売却を円滑に進めるためには、査定から媒介契約、売却活動という流れをしっかり理解することが重要です。まずは訪問査定や資料準備についてご説明いたします。

訪問査定では、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、所在地、築年数、建物の状態、収益状況などを確認し、過去の成約事例などと比較して価格の目安を提示します。また、査定依頼時には、建築確認済証や履歴事項全部証明書、収支報告書などを準備しておくと、より正確かつ迅速な査定につながります。

次に媒介契約の種類について簡単にご紹介します。

媒介契約の種類特徴報告義務
一般媒介契約複数の不動産会社に依頼可能。自己発見取引も可能。売却活動の報告義務なし。
専任媒介契約1社に絞って依頼。自己発見取引可能。2週間に1回以上の報告義務。
専属専任媒介契約1社にのみ依頼。自己発見取引は不可。1週間に1回以上の報告義務。

専任媒介契約では、不動産会社は契約締結後7日以内にレインズ(不動産流通機構)への登録が義務づけられ、その後2週間に1回以上の報告義務が課されます。一方、専属専任媒介契約では登録→5日以内、報告頻度→1週間に1回以上と、より厳格なルールとなります。一般媒介契約では報告義務も登録義務もありません(すべて宅地建物取引法に基づくルールです)。

最後に、売却活動のスケジュール感について整理いたします。媒介契約の有効期間は多くの場合3か月以内と定められ、期間中に広告掲載、内覧対応、価格見直しなどを計画的に進めることが望ましいです。例えば、査定結果をもとに広告開始、1か月後に内覧対応、1.5か月後に反応確認、2か月後に価格調整の検討、3か月以内に成約を目指すなどの流れになります。定期的な報告を通じて進捗を確認しながら、状況に応じ適切な対応を行うことが重要です。

売買契約から引き渡しまでの具体的な進め方

アパートの売却において、売買契約締結から引き渡し完了までの流れは、安心して売却を進めるうえで重要です。以下に、流れを時系列で整理してご説明いたします。

1. 購入希望者との条件調整と売買契約(重要事項説明含む)
売買契約を結ぶ際には、買主に対して重要事項説明を行い、物件の状況や契約内容を明らかにします。そのうえで、売買価格や引き渡し時期、特約の有無などの条件をすり合わせます。契約成立後、手付金の授受が行われ、正式に売買契約が締結されます。

2. 手付金授受・決済準備・抵当権抹消手続き
売買契約締結後、買主は手付金を支払います。残代金決済日に向けて、売主は住宅ローンが残っている場合、残債や返済方法を金融機関に確認し、完済後の抵当権抹消書類を取得する手配を行います。この一連の準備は、スケジュールに余裕をもって進めることが重要です。

3. 決済・登記・税金精算・鍵の受け渡し
決済当日には、司法書士が登記に必要な書類を確認し、所有権移転登記や抵当権抹消登記の手続きを進めます。金融機関による融資実行や残代金の受領、固定資産税や都市計画税の精算も同時に行われます。手続きと支払いが完了した後、売主から買主に鍵や書類を渡し、引き渡しが完了します。

以下に、引き渡し時に必要となる主な書類を表にまとめました。

必要な書類等内容
印鑑証明書実印を使用する書類に必要。市区町村役場やコンビニで取得可能です。有効期限は取得から3か月以内です。
抵当権抹消書類金融機関から交付され、司法書士が登記申請を行います。売主のローン完済と同時進行で取得が必要です。
賃貸借契約書・ローン残高証明等アパートの賃貸状況やローン残債を明示し、引き渡し時の明確化に役立ちます。

以上が、売買契約から引き渡しまでの具体的な進め方です。大きなお取引だからこそ、正確な進行と書類の準備が安心につながります。当社では、このような流れをわかりやすく丁寧にサポートいたしますので、どうぞご安心してご相談ください。

売却にかかる費用や税金をしっかり押さえる

アパートの売却に際して、どのような費用や税金が必要になるのかを整理しておきましょう。以下は代表的な項目ですが、正確な金額や対象については、関係機関にご確認ください。

費用・税金の種類 内容 概要
印紙税 売買契約書に貼付 契約書に記載の金額に応じて決まる。売主と買主で各1通分を負担するのが一般的です。
登録免許税 登記の際に必要 抵当権抹消登記は1件あたり1,000円、建物と土地それぞれかかります。司法書士に依頼する場合は報酬が別途必要です。
譲渡所得税 売却で得た利益に課税 所有期間により税率が異なります(長期:約20.315%、短期:約39.63%)

印紙税は、不動産売買契約書に貼付する収入印紙の金額で決まります。売買金額に応じた税額が定められており、軽減措置が適用されている場合もあります。また契約書は売主用・買主用の2通作成されることから、負担の分担方法は契約次第で異なりますが、双方が1通ずつ負担することが多いです。印紙税については、契約金額に応じた税額表をご参照ください。

登録免許税は、所有権移転登記や抵当権抹消登記にかかる税金です。抵当権抹消登記は、不動産一物件あたり1,000円ずつ課税され、土地と建物両方ある場合は2,000円となります。司法書士に依頼する場合は手数料も別途発生しますので、ご注意ください。売主負担となるかどうかは契約内容によりますが、一般的には買主が所有権移転登記を行い、売主は抵当権抹消のみ対応するケースも多いです。

譲渡所得税は、売却で得た利益すなわち譲渡所得に対して課される税金です。譲渡所得は「売却価格 -(取得費+譲渡費用)」で算出されます。取得費には購入費用や減価償却後の建物費用等が含まれ、譲渡費用には売却のためにかかった費用(例:仲介手数料、印紙税、測量費など)が該当します。取得費が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費とする計算方法もあります。所有期間が5年を超える長期譲渡では税率約20.315%、5年以下の短期譲渡では約39.63%の税率が適用されます。納税は売却の翌年に確定申告で行う必要があります。

加えて、その他にも状況によっては以下のような費用が生じることがあります:

  • 繰上返済に伴う手数料(ローン残債がある場合)
  • 測量費用(境界確定のため)

これらは状況によって必要かどうか異なるため、事前に確認することをおすすめします。

まとめ

アパートの買取や売却は、信頼できる不動産会社選びから始まり、正確な査定や媒介契約を経て成約へと進みます。それぞれの段階では、準備する書類や手続き、かかる費用や税金など押さえておくべきポイントが数多くあります。特に税制や諸経費については事前に理解しておくことで、手取り額の見通しも立てやすくなります。不明な点は早めに専門家へ相談し、安心して売却を進めましょう。不動産投資物件の売却は、多くの方にとって大きな決断です。流れを把握し、丁寧に進めることが納得できる取引につながります。

お問い合わせはこちら