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不動産購入時のローン手続きは何から始める?流れや必要書類を初心者向けに整理

伊東 孝之

筆者 伊東 孝之

不動産キャリア15年

サラリーマン時代は不動産会社で勤務、独立後は建物そのもののことを学ぶべく、リフォームを主軸に物件に携わって参りました。広く浅くですが、建築に関する知識も有していますので、単純に不動産を右から左に売却するのではなく、付加価値を見出すことに注力しています。

住宅の購入を考え始めると、「住宅ローンの手続きは難しそう」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。特に初めて住宅ローンに申し込む場合、申請から審査、手続きの流れが分からず戸惑うことも少なくありません。この記事では、住宅ローンの手続きについて、分かりやすく順を追ってご説明します。ご自身のスケジュールや生活に負担をかけず、安心して進めるためのポイントを解説しますので、これから不動産購入を検討される方はぜひ最後までご覧ください。

住宅ローン手続きの全体の流れ

初めて住宅ローンの利用を検討される方に向けて、手続き全体の流れをわかりやすくご案内します。

まず、購入希望の物件が決まったら、はじめに「事前審査(仮審査)」を申し込みます。これは正式な申し込みの前に、収入・勤続年数・借入希望額などから、融資される可能性があるかどうかを簡易的に判断する段階です。インターネットで申し込む場合は、書類提出不要のケースもあります。審査結果は数日から一週間程度で通知されることが一般的です(例:三井住友銀行、みずほ銀行など)。

事前審査を通過すると、本審査へと進みます。本審査では、物件や売買契約、詳しい担保評価、健康状態(団体信用生命保険への加入可否)など、より詳細に確認されます。必要書類が増えるため、住民票・印鑑証明・契約書・重要事項説明書などの提出が求められることもあります。審査期間は1~2週間ほどが目安ですが、繁忙期にはこれ以上かかる場合もあります。

本審査が無事通過すれば、金融機関とのローン契約を締結します。その後、融資実行に向け、契約書類の確認・署名・押印を行い、抵当権設定などの登記関連手続き準備を進めます。契約締結から融資実行までには、通常1~2週間程度の時間がかかります。融資金は指定口座に振り込まれ、その資金と自己資金を合わせ物件引き渡しに備えます。

ステップ 内容 所要期間の目安
事前審査(仮審査) 簡易的な融資の可否判断(収入・勤続年数・物件情報など) 数日~1週間程度
本審査 担保評価や健康状態確認、書類精査などの詳細審査 1~2週間程度(繁忙期は長引くことも)
契約締結・融資実行 契約書の署名押印、抵当権設定などの準備と資金の振り込み 契約後1~2週間程度

住宅ローン申し込みに必要な準備と書類(初めての方向けに不安をやわらげる)

住宅ローンを初めて申し込む際には、事前の準備と必要書類をしっかり整えておくことが大切です。とくに初めての方は「何を用意すればよいか」「どんな手続きがあるのか」に不安を感じやすいものですので、わかりやすく整理してご案内します。

カテゴリ準備すべき項目内容のポイント
主要書類本人確認書類、収入証明書、契約書類運転免許証や健康保険証、源泉徴収票や課税証明書、不動産売買契約書などが必要です
実印・印鑑登録実印、印鑑登録証明書の取得売買契約やローン契約、登記手続きに実印・印鑑証明書(5枚程度、発行から3ヶ月以内が目安)が必要です
費用の備え諸費用の現金準備購入価格の3~10%程度(例:3,000万円なら90万~300万円)が諸費用の目安です

まず、「本人確認書類」には、運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどが使用できます。収入証明書としては、源泉徴収票や課税証明書などが基本です。また、不動産売買契約書や住宅ローン申し込み時の書類も余裕をもって準備しましょう。

実印と印鑑登録証明書は重要な役割を果たします。実印を用いる契約は、不動産会社との売買契約時や金融機関とのローン契約時、さらには司法書士による登記の際にも必要です。印鑑登録証明書は最低でも5枚程度、かつ発行から概ね3ヶ月以内のものを用意しておくと安心です(各機関によって必要枚数や期限が異なる場合があります)。

最後に、諸費用への備えも欠かせません。住宅ローンの借入額とは別に、登記費用、保証料、火災保険料、融資事務手数料、印紙税などがかかります。その合計は、物件の価格に対しておおよそ3~10%が目安となります。たとえば物件価格が3,000万円であれば、約90万~300万円ほどを現金で用意する必要があります。

スケジュール計画の立て方(無理なく進められる計画の立て方)

初めて住宅ローンを申し込む方にも、安心して進められるよう、各ステップに必要な期間の目安を整理します。また、審査が集中する繁忙期の対策や、引き渡しと融資実行を同じ日に行う場合の調整ポイントについても併せてご案内します。

ステップ期間の目安備考
事前審査(仮審査)1~7日程度ネット系なら即日〜数日、店舗型では1週間程度が目安です
本審査1~3週間程度必要書類が多いため、準備不足や審査集中時期には長引く可能性があります
契約~融資実行1週間~1ヵ月程度契約調整や登記手続きの関係で余裕をもって計画しましょう

全体として、事前審査から融資実行まで通常で1ヶ月から1ヶ月半程度を目安に計画することが望ましいです。ただし、2月・3月や9月・10月など不動産取引が集中する繁忙期には、審査にさらなる時間がかかることがあります。余裕をもって手続きを進めましょう。

特に引き渡しと融資実行を同日に行いたい場合は、スケジュール調整が重要です。売主、不動産会社、金融機関との日程を早めにすり合わせ、金銭消費貸借契約や抵当権設定登記を担当する司法書士などとも連携しましょう。調整が難しい場合には、契約時に予備日を設けるなどの柔軟な対応が安心です。

安心して進めるための注意点と手続き後の対応

初めて住宅ローンの申し込みをされる方にとって、不安を和らげながら手続きを進めるには、以下の3つのポイントをしっかり押さえておくことが大切です。

項目ポイント
ローン特約の確認契約時のローン特約では、万が一ローン審査が不成立になった場合に契約解除が可能かどうか、解除の期限や条件などを明記しているかを必ず確認してください。
住宅ローン控除など制度の活用住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高の0.7%が所得税から控除され、控除しきれない場合は住民税からも減税されます。新築住宅などでは、借入限度額や控除期間が制度上定められており、概要を理解して活用すると節税に繋がります。制度は住宅の性能や入居時期などで適用条件が変わるため、事前に確認が必要です。
書類不備を防ぐ確認事項申請書類に漏れや誤りがないよう、提出前に再チェックを行いましょう。特に本人確認書類や収入証明、印鑑証明など、公的書類は最新のものであるかどうかを必ず確認し、フォローの連絡がある場合に迅速に対応できるよう、連絡手段も整えておくと安心です。

こうした注意点をきちんと確認しながら進めることで、手続きの途中で慌てることなく、安心して住宅ローンの準備を進めることができます。

まとめ

住宅ローンの手続きは、事前審査から本審査、融資実行まで段階的に進みます。初めての方でも、必要書類を準備し、各ステップの流れや期間を把握しておくことで、不安なく手続きを進めることができます。また、費用面やスケジュールにも余裕を持ち、慎重に計画を立てることが大切です。手続き後は、住宅ローン控除などの制度をしっかり活用し、書類の確認も怠らないようにしましょう。住宅購入の夢を、安心して実現するための第一歩にしてください。

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