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岸和田市の市街地再開発とは?事例や特徴をわかりやすく解説

伊東 孝之

筆者 伊東 孝之

不動産キャリア15年

サラリーマン時代は不動産会社で勤務、独立後は建物そのもののことを学ぶべく、リフォームを主軸に物件に携わって参りました。広く浅くですが、建築に関する知識も有していますので、単純に不動産を右から左に売却するのではなく、付加価値を見出すことに注力しています。

岸和田市の市街地再開発は、どのような課題や工夫を経て街に新たな息吹をもたらしてきたのでしょうか。これから、岸和田市内で実際に推進された再開発事例をもとに、旧港地区・東岸和田駅東地区・本町地区・駅周辺の4つのエリアごとの取り組み内容を分かりやすく解説します。地域特性や歴史を活かした多様な再生策を知ることで、自分に合った暮らしや街づくりを考えるヒントになるでしょう。

旧港地区における21世紀型市街地再開発の展開

岸和田旧港地区では、「水と緑につつまれた21世紀の新しいライフスタイルの創造」を目指し、市の新たな都市拠点を形成する再開発が進められています。地区計画では、商業・業務機能を育成しつつ、既成市街地との調和を図り、にぎわいある親水空間や緑豊かな環境づくりにも力を注いでいます。

地区整備の方針としては、自動車交通を円滑に処理する幹線道路の配置を適切に行い、植樹帯を設けた潤いある歩行者空間を確保。そして、歩行者専用道路によって安全で快適な歩行者ネットワークの整備が図られています。

さらに、用途別に地区を細分化している点も注目すべきです。商業・業務機能と親水空間を重視するA‑1地区、交流・医療・福祉機能を重視するA‑2地区、文化交流や商業核として位置づけられるB‑1地区、都市型居住とサービス機能を担うB‑2地区、業務と生活利便施設を併せ持つB‑3地区に分け、それぞれに目的を明確化しています。

地区名主な機能・目的
A‑1地区商業・業務、親水空間によるにぎわい創出
A‑2地区交流・医療・福祉機能の導入による健康増進
B‑2地区都市型居住機能と生活サービス機能の充実

このように、岸和田旧港地区は多機能をバランスよく配置し、交通と環境の調和を図りながら、新しい都市空間として魅力ある姿を目指しています。

東岸和田駅東地区の防災街区整備事業としての再開発アプローチ

まず、防災街区整備事業への切り替えによる事業実現のプロセスを見てみます。以前は大型商業施設と高層マンションを中心とした再開発が計画されましたが、経済情勢の変化に伴う核テナント撤退により停滞しました。その後、市民ニーズや社会状況の変化に対応する形で、不燃化・防災性を重視し、<防災街区整備事業>へと事業形態を変更。平成18年(2006年)8月に第一種市街地再開発事業を廃止し、柔軟な「身の丈に合った再開発」として都市計画決定がなされたのです。

続いて、竣工概要(棟構成・階数・施設内容など)を整理します。2010年10月に竣工し、地上14階・地下1階のRC(一部S造)構造、延床面積31,411㎡。用途はファミリー向け分譲マンションや高付加価値型高齢者向け分譲マンション、店舗、医療施設に加え、図書館・体育館・公民館などの公共公益施設を含む複合施設として整備されました。建物配置には45度傾けた軸を採用し、市民センターの個性的な外観もあって、都市景観に活気をもたらしています。歩行者専用道路による歩車分離と周辺の緑化により、子どもから高齢者まで安全で心地よく暮らせるまちづくりをめざした設計です。

最後に、再開発事業としての評価ですが、関西まちづくり賞を受賞しており、地域整備の観点でも高く評価されました。

項目内容備考
事業切替市街地再開発→防災街区整備事業平成18年都市計画決定
竣工概要地上14階・地下1階、延床31,411㎡、複合用途RC・一部S造、2010年10月竣工
評価関西まちづくり賞受賞地域整備での高評価

本町地区における歴史的街並み保存型整備の取り組み

岸和田城の西側に広がる本町地区は、城下町の面影を今に伝える貴重なエリアです。紀州街道沿いには、本瓦葺きの屋根や中二階・出格子など伝統的な町家の構えが今も色濃く残っており、平成5年には「歴史的まちなみ保全地区」として指定され、35件の歴史的景観建築物が登録されました。これは、岸和田らしい風情を守るための基本的な土台となっています。

この地域で進められた「まちなみ環境整備事業」は、平成6年度から15年度にかけて展開され、ポケットパークや集会所(まちづくりの館)の整備、そして家屋修景助成や団体活動助成が実施されました。こうしたハード面の整備は町の景観形成に大きく寄与しました。

その後も維持・継続の取り組みは衰えず、基金を活用した家屋修景助成や、まちなみを守りながら地域活動を支える団体活動助成が継続されています。

例えば、「本町のまちづくりを考える会」は平成6年に設立された地域主体の組織で、板塀による修景や案内板・掲示板の設置といった活動を通じて、まちなみの連続性と魅力を高め続けています。

区分内容実施時期
地区指定歴史的まちなみ保全地区・35件の歴史的景観建築物指定平成5年
環境整備事業ポケットパーク、まちづくりの館整備・家屋修景助成など平成6年度〜15年度
継続支援基金を活用した助成および団体活動支援平成16年度以降

こうした取り組みの結果、本町地区の城下町としての魅力はしっかりと保存され、訪れる人々に歴史と暮らしのやさしさを感じさせるまちなみが広がっています。市民や地域団体が主体となって積み重ねてきた保存の努力が、一つ一つ景観の中に息づいているのが実感できるでしょう。

駅周辺の歩行・自転車空間整備など公共空間再生の取り組み

岸和田駅周辺では、歩行者・自転車の安全で快適な通行環境を整えるために、車道と歩道の明確な分離や無電柱化など、多彩な工夫を重ねて公共空間を再生しています。

まず、「くらしのみちゾーン」構想に基づき、歩行者・自転車の通行空間を確保しつつ、歴史的資源や都市景観の魅力を高める取り組みが行われました。無電柱化や道路の美装化、さらに「だんじリン」レンタサイクルのネットワーク化も進められ、賑わいと安心感のあるまちづくりを目指しています。

また、地域住民や学校関係者による花いっぱい活動の一環として、「ガーデニングショウ」が毎年駅前の歩行者空間で開催されています。ハンギングバスケットを駅前に多数展示し、季節感あふれる彩りとともに、地域のつながりや回遊の魅力づくりを後押ししています。

施策内容効果
歩行・自転車専用空間整備歩車分離、無電柱化、道路舗装美装化安全性向上と景観改善
レンタサイクル「だんじリン」利用料金を抑えた自転車貸出(300円/日)モビリティ利便性向上と回遊促進
ガーデニングショウ駅前歩行空間に花の展示(バスケット多数)地域の賑わい創出と景観アップ

これらの施策は、地域の安全・快適性はもちろん、景観や交流の魅力を高めることにも寄与しています。歩行・自転車環境の向上と、花やイベントによる彩りのある公共空間が、岸和田駅周辺に新たなにぎわいを生んでいます。

まとめ

岸和田市の市街地再開発は、旧港地区の環境調和型再整備や、東岸和田駅東地区での防災性を高めた街区開発、本町地区の歴史と共存する景観保全型のまちづくり、そして駅周辺の歩行・自転車空間の充実など、多様なアプローチで進められています。それぞれの取り組みは、地域の魅力を引き出し、住みやすさや利便性を大きく向上させています。今後も岸和田市のまちづくりは、皆さまの暮らしを支える新たな可能性に満ちています。

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