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相続した実家が共有名義に|兄弟でもめないための解消方法

伊東 孝之

筆者 伊東 孝之

不動産キャリア15年

サラリーマン時代は不動産会社で勤務、独立後は建物そのもののことを学ぶべく、リフォームを主軸に物件に携わって参りました。広く浅くですが、建築に関する知識も有していますので、単純に不動産を右から左に売却するのではなく、付加価値を見出すことに注力しています。

相続のとき、実家を兄弟で分けるのが難しく、とりあえず共有名義にしておく。という判断は、よくあります。その場は公平に見えますし、話し合いも一旦終わります。

ただ、当社に持ち込まれる相続不動産のトラブルで、最も多いのがこの共有名義です。

  • 共有名義の何が問題か
  • 4つの解消方法
  • 共有者と連絡が取れない場合の新制度
  • まとめ

共有名義の何が問題か

やりたいこと必要な同意
共有物全体を売却する共有者全員の同意。持分の過半数では足りません
自分の持分だけを売る単独で可能(ただし買主がほぼ見つかりません)
賃貸に出す持分の価格の過半数。ただし建物3年・土地5年を超える賃貸は全員の同意が必要です
大規模修繕など軽微な変更持分の価格の過半数
建て替えなど大きな変更共有者全員の同意
現状を保つための修繕各共有者が単独で可能

「誰が費用を出すか」でもめるのは、修繕のところです。 住んでいない共有者は修繕にお金を出したがらず、住んでいる共有者は負担が偏ると感じます。

時間が経つほど収拾がつかなくなります

これが最大の問題です。共有者の1人が亡くなれば、その持分がさらにその相続人へ分割されます。兄弟3人の共有が、次の代で6人、その次で10人以上という増え方をします。顔も知らない親族と協議することになり、1人でも所在がわからなければ、そこで手続きが止まります。

共有名義は、問題を解決したのではなく先送りにしている状態だと考えてください。しかも先送りするほど、解決の難易度が上がります。

4つの解消方法

方法内容と課題
1. 共有者の1人が買い取る住んでいる方や使う予定のある方が、他の共有者の持分を買い取ります。最もすっきりする方法ですが、持分の買取に住宅ローンは使いにくく、自己資金が必要になることがあります。金融機関によっては対応できる商品もあるので、あきらめる前にご相談ください
2. 全員で売って代金を分ける(換価分割)実務でいちばん多い解決策です。全員が現金で受け取るため公平で、その後の関係も残りません
3. 共有物分割請求(裁判所の手続き)話し合いがまとまらない場合、裁判所に分割を求められます
4. 持分だけを売る買主が限られ、価格も大きく下がります。共有者との関係が完全に断絶している場合の最終手段です

2番の進め方のコツは、先に査定を取ることです。「いくらになるか」がわからないまま話し合っても、まとまりません。共通の数字があると、議論が具体的になります。

裁判所が命じられる3つの分割方法

現物分割(共有物を物理的に分ける)と、賠償分割(1人が取得し、他の共有者に持分に応じた代金を支払う。2023年の改正で条文に明記されました)。この2つは法律上どちらが優先ということはなく、裁判所が事案に応じて選びます。

そして、上の2つでは分割できない場合、または分割すると価格を著しく下げてしまう場合に限って、競売分割が命じられます。あくまで補充的な手段という位置づけです。競売になると、市場価格より低くなるのが通常です。 全員にとって不利益なので、その前に話し合いでまとめるほうが得です。

共有者と連絡が取れない場合の新制度

「1人の所在がわからず、何十年も手つかず」という不動産は、岸和田の旧市街や丘陵部にも実際にあります。2023年4月の民法改正で、この状況に使える制度ができました。

制度内容
所在等不明共有者の持分取得登記簿や住民票を調べても所在がわからない共有者がいる場合、他の共有者が裁判所の決定でその持分を取得できます。裁判所が3か月以上の異議届出期間を公告し、異議がなければ持分の時価相当額を供託して取得します。不明だった共有者は後日その供託金を受け取れます
所在等不明共有者の持分の譲渡権限付与不明共有者の持分を第三者に譲渡する権限を、裁判所から与えてもらう制度です。これを使うと不動産全体を第三者に売却できます。ただし、不明共有者以外の共有者全員が持分の全部を同じ買主に譲渡することが前提で、反対している共有者がいる場合には使えません

申立先は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所です(岸和田市の不動産なら大阪地方裁判所。実際にどの庁で受け付けるかは、申立て前にご確認ください)。

相続不動産には10年の制限があります

どちらの制度も、遺産分割が済んでいない相続財産の持分については、相続開始から10年を経過していないと利用できません。 つまり、亡くなってから10年経つまではこの手段が使えません。やはり、早く分割してしまうのが最善という結論になります。

まとめ

ポイント内容
共有名義は問題の先送り時間が経つほど共有者が増え、解決が難しくなります
全体の売却には全員の同意が必要1人でも反対すれば売れません
実務でいちばん多い解決全員で売って代金を分ける方法。まず査定を取ると話が進みます
裁判所の共有物分割請求競売分割になると価格は下がります
所在不明の共有者への新制度相続財産は10年経たないと使えません

すでに共有名義になっている、あるいはこれから共有にしようとしている。どちらの段階でもご相談ください。査定額という共通の数字を出すだけで、話が動くことがよくあります。

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この記事の執筆者

伊東 孝之

このブログの担当者 伊東 孝之

◇ 保有資格
宅建士、賃貸不動産管理士、米国不動産経営管理士(CPM)

◇ キャリア:15年

司法書士や税理士といった専門家と密に連携し、法務・税務の両面からバックアップする万全の体制を整えております。無料相談無料査定も承っており、初めてのご売却でも安心してお任せいただけます。地域に深く根ざし、ご紹介を通じて積み上げてきた信頼の実績を糧に、皆様の不動産売却を支える最良のパートナーであり続けます。