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不動産を売ったときの税金|計算方法と、健康保険料が上がる仕組み

伊東 孝之

筆者 伊東 孝之

不動産キャリア15年

サラリーマン時代は不動産会社で勤務、独立後は建物そのもののことを学ぶべく、リフォームを主軸に物件に携わって参りました。広く浅くですが、建築に関する知識も有していますので、単純に不動産を右から左に売却するのではなく、付加価値を見出すことに注力しています。

不動産を売って利益が出ると、譲渡所得税がかかります。ただ、マイホームには大きな特例があり、実際には税額がゼロになる方が少なくありません。

一方で、税金がゼロでも、翌年の健康保険料が上がることがあります。 ここは見落とされがちで、あとから驚かれる方が多い部分です。この記事では両方を扱います。

  • 譲渡所得の計算と税率
  • 取得費がわからないときの落とし穴
  • マイホームなら3,000万円の特別控除
  • 見落としがちな「翌年の健康保険料」
  • まとめ

譲渡所得の計算と税率

譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

項目内容
取得費買ったときの価格と購入時の諸費用。建物は減価償却した後の金額を使います
譲渡費用仲介手数料、印紙税、測量費、売るために行った解体費、立ち退き料など

税率は所有期間で変わります。判定は「売却した年の1月1日時点」です。売った日ではありません。

所有期間税率(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)
5年以下(短期譲渡)39.63%
5年超(長期譲渡)20.315%

年末に売るか年明けに売るかで、5年を超えるかどうかが変わることがあります。所有期間が5年前後の物件は、売却時期をご相談ください。

取得費がわからないときの落とし穴

親から相続した家で購入時の契約書がない、というケースはよくあります。

このとき、売却価格の5%を取得費とみなす計算になります。3,000万円で売れたら取得費は150万円。実際は当時2,000万円で買っていたとしても、150万円しか引けません。差の2,850万円が譲渡所得として扱われ、税額が大きく変わります。

家を片付ける前に、書類を探してください。 使える可能性があるのは次のようなものです。

探すもの補足
当時の売買契約書、重要事項説明書最も確実な資料です
購入時の領収書、仲介手数料の領収書取得費に含められる費用の証拠になります
住宅ローンの金銭消費貸借契約書、償還予定表借入額から購入価格を推測できる場合があります
通帳の入出金記録支払いの事実を裏づけられることがあります
分譲時のパンフレットや価格表当時の販売価格の資料になります

契約書そのものがなくても、これらを組み合わせて取得費を認めてもらえることがあります。捨ててしまうと取り返しがつきません。

マイホームなら3,000万円の特別控除

自分が住んでいた家を売った場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。多くのご自宅の売却は、これで税額がゼロになります。

さらに、10年を超えて所有していた場合は軽減税率の特例があり、3,000万円を控除した後の課税長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分が14.21%(所得税10.21%+住民税4%)になります。6,000万円を超える部分は通常どおり20.315%です。所有期間の判定はここでも「売った年の1月1日時点」で、家屋と敷地の両方が10年超である必要があります。この2つは併用できるため、長く住んだご自宅の税負担はかなり抑えられます。

なお、住まなくなってから売る場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

ただし、控除を使うには確定申告が必要です。 税額がゼロになる場合でも申告しなければ、特例は適用されません。ここを忘れて特例を使い損ねる方が、毎年います。

相続した実家を売る場合は、別枠の「相続空き家の3,000万円特別控除」があります(2027年12月31日まで、昭和56年5月31日以前の建物、売却代金1億円以下などの要件あり)。

見落としがちな「翌年の健康保険料」

ここからが、他ではあまり書かれていない話です。

国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料は、前年の所得をもとに計算されます。 そしてこの所得には、不動産の譲渡所得も含まれます。

つまり、不動産を売った翌年、保険料が大きく上がることがあります。年金生活で保険料が最低水準だった方が、翌年だけ上限近くまで上がる、というケースが実際にあります。

算定に使われるのは「特別控除後」の金額です

安心していただきたいのは、保険料の算定基礎になるのは、3,000万円特別控除を差し引いた後の金額だという点です。介護保険料については、平成30年度から施行令の改正で、特別控除後の金額を使うことが明確化されました。国民健康保険料・後期高齢者医療保険料も、算定に用いる譲渡所得は特別控除後の額です。

したがって、売却益が3,000万円以下で特別控除を使えるなら、保険料は原則として上がりません。ただし、これも確定申告が前提です。 申告しなければ控除前の金額で所得が把握され、保険料も高いまま計算されます。「税金がゼロだから申告不要」と考えて申告せず、翌年の保険料の通知に驚く。これが実務でいちばん多い事故です。

加入している制度譲渡所得の影響
国民健康保険(自営業・退職された方)あり。翌年度の保険料の算定に含まれます
後期高齢者医療制度(75歳以上)あり。保険料と窓口負担割合の判定に影響しえます
介護保険あり。保険料段階の判定に含まれます
会社の健康保険(協会けんぽ・組合健保)なし。標準報酬月額で決まるため影響しません
厚生年金保険料・雇用保険料なし

70歳以上の方の窓口負担割合(1割・2割・3割)は住民税の課税所得で判定されるため、譲渡所得(特別控除後)が含まれると区分が上がる可能性があります。高額療養費の自己負担限度額も同様です。影響は翌年度の1年間だけで、その後は元に戻ります。とはいえ、医療費のかかる時期に重なると負担は小さくありません。売却の時期を決めるとき、この点も判断材料に入れてください。

保険料の計算方法や料率は自治体ごとに異なります。具体的な金額は、岸和田市役所の国民健康保険の窓口でご確認ください。

まとめ

ポイント内容
税率所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%。判定は売却した年の1月1日時点
取得費わからないと売却価格の5%しか引けません。書類は捨てる前に探してください
マイホームの特例3,000万円特別控除。10年超所有なら14.21%の軽減税率も併用できます
確定申告税額ゼロでも必要。申告しなければ特例は使えません
健康保険料国保・後期高齢者医療・介護保険料は翌年上がることがありますが、算定は特別控除後の金額です
会社員の方会社の健康保険には影響しません

税額の試算は、売却前にしておくほうが安心です。当社では、査定と合わせておおよその手取り額をお出ししています。込み入ったケースでは、相続や譲渡に慣れた税理士をご紹介します。

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この記事の執筆者

伊東 孝之

このブログの担当者 伊東 孝之

◇ 保有資格
宅建士、賃貸不動産管理士、米国不動産経営管理士(CPM)

◇ キャリア:15年

司法書士や税理士といった専門家と密に連携し、法務・税務の両面からバックアップする万全の体制を整えております。無料相談無料査定も承っており、初めてのご売却でも安心してお任せいただけます。地域に深く根ざし、ご紹介を通じて積み上げてきた信頼の実績を糧に、皆様の不動産売却を支える最良のパートナーであり続けます。